昨年末、治療中の患者さまが、『口の内側が腫れてきた!!』 と...?
何が起こっている?
以前 他院にて治療された修復物には問題がない!
さて、何だ?
レントゲンを撮ってみると、何やら影が!!!
≪術前 レントゲン≫
矢印の部分に黒いしみ(歯根膿胞の影)が...
歯の色も黒くない。死んで時間がたっていれば黒くなるはず。
でも死んでいるのかな?
そこで、歯髄診断器の登場!!!
電気を流してみると やはり反応なし。
生きていれば 痛みと感じるはず。
何が起こっているか説明し、根の治療を開始いました。
歯に穴をあけると おびただしい膿が...
まるで公園の噴水のように
いまだかつて こんなに長い間 膿が吹き出ているのを見たことがないほど...
想像するに 長い間 死んだ歯の膿が溜まり
本来 前の方に溜まりやすいものが
裏側(口蓋側)に溜まってここまで大きくなってきたのだと
≪5か月間 調薬後のレントゲン≫
しかし、5か月 根の治療をしているのに
一向に回復の兆しが見られません。
膿が止まらないのです。
歯に蓋をすると 膿がたまるので
一時、根管を明けっ放し 膿を垂れ流し状態にしていたにもかかわらず...
止まらないのです。
止まったかと思い、殺菌薬を入れると
次の回に また 膿が...
そこで、3月末に導入した『歯科用CT』で撮影してみることに。
そうすると そこには...
巨大な歯根膿胞がありました!!!!!!!!!!!!!
≪歯科用CT画像≫
〈左上の画像}に調薬中の薬が根管内にあるのが確認できます。
{右上の画像}で根に接して歯根膿胞が口蓋側にあるのが確認できます。
{左下の画像}で左右中切歯・左側側切歯に及ぶ巨大な歯根膿胞が確認できます。
{右下の3D画像}で左側中切歯を中心に 左側側切歯がまるまる見え、
右側中切歯の近心根面が見えているのがわかります。
矢印の部分が歯根膿胞と骨との境目です。
こんなに大きいのであれば、調薬だけでは治りませんね!
そこで、歯根端切除術と歯根膿胞摘出術を説明させていただき
同意を得て、手術を行うこととしました。
≪術中の口腔内写真≫
歯肉を反転してみるとびっくりするぐらいの大きさの骨欠損が...
口蓋側に こんなに大きいのを見るのは初めてです。
映っている歯牙と比較していただくとその大きさがわかるかと...
ちなみに、中央の穴が小さく見えますが 遠近法で小さく見えるのであって
現物は 約倍ぐらいあります。
≪除去した歯根膿胞≫
見てください この巨大な歯根膿胞
15㎜ぐらいの横幅 の代物です。
まるで 砂肝
この大きさは根の治療だけでは治りません!!
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≪根充後 レントゲン≫
先に根充 根尖を見つけ後でカットしました。
側支の存在が確認できます。
≪術後 歯科用CT≫
{上の画像}で根管内が根充材で満たされているのが確認できます。
{左下の画像}で歯根膿胞のあった黒い空間の右上に根充された根尖が確認できます。
{右下の画像}で根充された根が白く見えています。
この状態で経過観察し、骨の治癒を待ちます。
今回、ここまで審査・診断できたのは
やはり 歯科用CTのおかげです。
従来 歯根端切除は唇側から行いますが、今回のようなケースを
唇側から行うと 削除する健全骨の量が多くなってしまいます。
すなわち 痛みと腫れが大きくなってしますので
それは大変なことに...
今回 腫れは顔面には出ず 内側に若干出ました。
痛みは問題なかったようで ミニマムにオペを終了しました。
歯科用CT さまさま といったケースです。